掛け違い

ボクは細かいことをいちいち指示されるのは苦手だ。
「目的は○○だからあとは任せる」
と言われた方が、期待以上の結果を出すことが多い。
だから、今回の上司とは合わなかった。
「だったら自分がここの店長やればいいじゃん」とか
「オレがここにいたって意味ねーじゃん」と何度も言いかけた。
細かく指示を出してその通りにやらせるぐらいなら自分が動いてやればいい。
その方が、指示通りに正しく仕上がる。


ボクが、部下に指示を出すときは例え細かい注文を出したとしても
どこかでその裏切りを期待する。いい意味でも悪い意味でも。
その裏切りの部分がその人も個性でもあり、その土地の文化であったりもするから。
ボクは、北海道から移住してきたよそ者だ。
だから、この土地のことはあまり知らない。
何が売れるのか何をお客さんから求められているのかは理解出来ないことが多い。
裏切りの中には、その答えが隠されていることがある。
裏切られても頭から怒ったりなんかはしない。必ずその意味を聞く。


今の上司は違う。
自分の理想からズレていると理由も聞かずに怒り出す。
例え、指示の出し方が悪かったとしてもこちらの責任にする。
「オレは追い込んでなんかはいない」という。
追い込んでいるかどうかは受け手のこちらが判断するもの。
そこに温度差がある。それを俗に「ボタンの掛け違い」と表現する。
彼は最後の最後までその掛け違いに気がつくことなくこの土地を去る。
考え方は素晴らしいのにその手順が間違っていた。
かわいそうな人間だと思う。