心の中の太陽がもう一度輝くように・・・

9月も終わりに近づいたころ
ボクの心が音もなく砕け散った。


それは突然だった。
いや、前兆はあった。
でも前兆といえるほど間があったわけじゃない。


深夜に起きた頻脈の発作からそれは始まった・・・


やっと仕事を終えて夜の11時近くにやっとの思いで自宅に帰ってきた。
PCの電源を入れてメールのチェック。
いつもどおりにインターネットをやっていた。
食欲なんてあまりの疲れで飛んで行ってしまっていた。


携帯が鳴る。
彼女からのメールの着信音ではない。

携帯のディスプレイには上司の名前。
「なんだよ。こんな時間に!」
そう思いながら出た。


今思えば、こんな非常識な時間帯の電話になんか出なきゃよかったんだ。


内容は残業についてのダメだし。
途中で話を聞くのも嫌になり聞き流してはいたものの
「どうだ!オレの言ってること違うか?どうだ?」
追い詰めるような口調で意見を語らせようとする上司。
疲れた体に思考能力の低下したその時間帯の自分にはただの脅迫でしかなかった。
言いたいことだけ一方的に話すと上司の電話は切れた。


あとには左手に携帯を握り締め
ぐったりと座椅子に寄りかかるように座っている自分がいた。


「ツー・・・・・・」


無機質な電話の音が静かな部屋に響いていた。


通話を切るボタンを押すことを忘れていたのを思い出し
慌てて通話を切るボタンを押した。


それから数分後・・・


ボクの心臓に異変が起きた。


トクトクトクトク・・・


運動もしていないのにボクの心臓が勝手に鼓動を早めた。
100mを全力で駆け抜けたとき以上の鼓動の早さだった。
異常なまでの鼓動の早さ。そしてその嫌悪感。


実際は30秒くらいだったのだろうか
でも、発作の起きている間は数分間にも感じた。


あまりの信じられない出来事に
冷や汗が流れるのを感じながらボクの目は見開き
右手は心臓の辺りを押さえてはいたが
左手はPCのキーボードの『D』に触れていたため
開いていた画面上のエクセルには


dddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddddd


と数え切れないくらい打たさっていた。





これがボクの心の中の太陽と月の出会いの始まりだった・・・