生きている

ボクは心が病んでしまったことで気がついたことがある。



元気で生きている それが一番の親孝行



親に電話をすることがあまりなかった。
仕事が忙しくて夜が遅いこともあって夜に電話というのはダルかった。


心が病んでからは、一人でいるのが辛すぎて電話で親にすがることが多くなった。
寂しくてというよりも親の声を聞くだけで気持ちが安らぐから。


「今日は、声が明るいな」


「今日は何かあったかい?」


「調子よさそうだな」


電話口のボクの声を聞くだけで親は一喜一憂の声を出した。


「こんな歳にもなって迷惑かけてごめん・・・」


情けなかった。今年で親は還暦を迎える。
普通なら定年退職する歳だ。
それなのに息子であるボクは心を病んでしまった。
でも、ボクの言葉に親はこう言った。


「あんたほど手のかからなかった子はいなかったよ。
お父さんとふたりでいつも感謝している。
立派に就職して経済的にも自立してあとは結婚するだけ。
こんなときぐらい頼っておいでよ。」



ボクは、涙が止まらなかった。